ようき農園は、気を養い、気を陽にする元気な日常生活を応援する農産物やサービスを提供します。これを栽培面から見ていきますと、体に良くて美味しいもの、を栽培することだと位置づけています。それにはまず、健康的に作物に育ってもらうことです。そのために
- 土づくりを大事にする
- 肥料を与えすぎない
- なるべく薬に頼らない
- 旬であること
- 土地に合ったもの
- 品種を見分ける
- 輪作をする
というようなことが大事だと思っています。健康的な作物であれば、元気のない作物よりも一応は人間の体にも良い感じはします(健康的に育った毒草は人間の体には良くない、という話はおいときましょう)。
そして、健康的な作物は美味しいとも重なる部分が少なからずあると思っていますが、体に悪くて美味しいものが幅を利かせている現状をみるとあまり声高になれませんし、体に良くて不味いものもあるのでわからなくなってきます。
ともあれ、ようき農園がカバーしたいところは、体に良くて美味しいもの、です。体にいいのだから不味くても我慢しろ、ではなくて、美味しい作物栽培を目指すということです。有機栽培とかのラベルだけで、うまくて体にいいと信じ込んじゃう人もいるでしょうが、そんなことはありませんよ(念のため)。体に悪くて美味しいものはやりません。
体に良くて美味しいものを栽培するために、日常の作業的には、土づくりをしつつ、草とうまくつきあいつつ、虫や病気を防ぎつつ。しかも、なるべく農薬を使わないで、ということになろうかと思います。土づくりはある程度コントロールできますが、草や虫、病気はなかなか手ごわいです。
健康的に育ってくれれば虫にも病気にも強くなるし、草にも負けにくくなる、と言いたいところですが、そう簡単にいかないところが悩みどころです。そもそも大量に農薬を使用することを前提にして品種の開発が行われてきた状況があります。農薬を前提にした品種ではそのままでは病気や虫にやられてしまいます。品種選びも大事になってきます。
草については、作物と作業に影響がないようなものまで目の敵にしたくはありません。ただ、作物の近くにメヒシバのような強いものがあると影響するのでそれは取り除かざるを得ません。作業に関してはある程度整理整頓されていたほうやはりいい。あまりに背丈の高い雑草だらけになったところには入りたくもなくなります。田舎では防獣ネットのようなもので畑を囲まないと害獣に食害されてしまいます。ネット周りが雑草だらけになっていたら仮に侵入されてきた場合、どこから侵入してきたのか突き止めて対策するのも難しくなります。もっとも、雑草は乾燥防止や土壌流出にも役立ちますし何より有機物の補給になりますので、除草剤を使わずに、うまく管理していくということになります。
ともあれ、状況状況をみて勘働きができるように知恵を身につけていくほかなしです。マニュアルもありません。
『日本農業への正しい絶望法』(神門義久・著、新潮新書)という本には、日本の農業はほとんど手遅れ状態だが、それでも「技能こそが生き残る道」と説きます。マニュアル依存型大規模農業だけでなくマニュアル依存型小規模農業との対比においてもです。マニュアル依存型がダメだとか悪いということではなく必要であるけれども、他国に比べて日本の強みにはならないという指摘です。
もともと日本には優れた耕作技能があった。うまくて安全な作物を自然環境と調和しながら作る技能があった。ところがその技能がどんどん死滅していると嘆きます。
現状は、よい農産物を作るという魂を失い、宣伝と演出で誤魔化すハリボテ農業になっている。それは、既存農家か新規参入か、大規模農家か小規模農家か、有機栽培か慣行栽培か、老若男女関係なしにです。
技能抜群の名人級になれば収穫物を食べただけで農地の状態を言い当てられることもあるそうです。そこまではたどり着けなくても、畑の土を見て、虫を見て、生えてる草を見て、水の流れ、風の流れ、地形なんかの畑の状況を見て何をどうつくればよさそうか、ぐらいの知恵は身につけたいところです。一歩一歩技能を高めていきます。
小さな農園では、マニュアル依存型農業が効率よく発揮されないでしょうから。